「大企業での植物工場事業の立ち上げ経験がある」研究者、神戸大学 小山竜平 助教にお話を伺いました。小山先生は、新卒で民間企業に就職後、新規事業リーダーとして研究開発、エンジニアリング、事業開発、品証、製造・出荷とすべてを経験されました。母校の神戸大学に戻られた後は、「植物工場で栽培された作物にしか提供できない価値」を追求する研究をされ、多くのパートナー企業と連携されています。事業の初めから立ち上げまで関わることだけでも珍しいのに、さらに今は大学に戻って研究されているという異色の経歴の持ち主です。とてもリアルな植物工場事業の立ち上げストーリーから、昨今期待されている植物工場業界のこれからまで、幅広く語っていただきました。
プロフィール
- 小山 竜平(こやま りょうへい) 助教/Ph. D.
- 神戸大学大学院 農学研究科 資源生命科学専攻 園芸生産開発学研究室
- 神戸大学大学院自然科学研究科を修了後、2007~2022年、日本山村硝子株式会社にて、同社の新規事業であった植物工場事業の研究開発立上げから事業化・収益化まで従事(現在も同社は、植物工場事業を継続中)。研究開発~エンジニアリング~品証~製造まですべてを経験。2022年に神戸大学大学院農学研究科助教に就任し、植物工場事業における現実を知り尽くした基礎研究者として、国内では非常に稀有な存在となっている。
- 最近ハマっていること:通勤中に芸人のPODCASTを聴くこと(お気に入りはロッチ)、ポケモン・モケケのグッズ収集(お子様と)

取り組んでいるプロジェクトの概要
― まずは、今取り組まれているプロジェクトについて教えてください。
小山先生(以下敬称略):イチゴ、トマト、レタス、小松菜、コケ植物、薬用植物、工芸作物など、植物工場でしか実現できない品質のものを作る研究、そして、それがなぜ達成できるのかというメカニズムの研究をしています。パートナー様によっても栽培ターゲットが異なるので、「植物工場」というくくりで自由に取り組んでいます。

― とても幅広く取り組まれているのですね。TechBizではイチゴについてのお取り組みをご紹介させていただきました(詳細は以下リンクより)。こちらについても、もう少し詳しく教えていただけますか。

小山:一般の方はあまりご存知ないと思うのですが、イチゴには、一季成り(いちきなり)と四季成り(しきなり)という二つの種類があります。一季成りは、読んで字のごとく、一年のうち冬~春だけ収穫できる品種です。対して四季成りは、季節を問わず長期間、継続的に収穫できる品種となります。例えば、あまおう、とちおとめ、紅ほっぺなどの比較的高級といわれる品種が一季成りなのですが、四季成りに比べて、大きく甘いのが特徴です。気温が低いと成長が遅くなり、また寒さに耐えるためにも糖分を蓄えるため、大きく甘くなるということです。また花が咲いて果実が成るためにも、冬が来たという環境の変化を必要とします。一般的には四季成りよりも一季成りの方が高品質になります。

―お恥ずかしながら私は、一季成り・四季成りの2種類があることを知りませんでした・・・。最近は、米国発の大型スタートアップOishii Farm社をはじめ、植物工場でイチゴを生産する取り組みも注目されていますが、植物工場では一季成りも生産できるのでしょうか。
小山:現状はおそらく、一季成りは生産できていないと思います。大半は四季成りでしょう。一季成りというのは、冬が来ることを感知して花を付け、その寒さに耐えながらに糖分を蓄えるわけです。つまり、反対に言えば、甘くておいしい一季成りを作るには、冬並みの低い気温が必要になります。ずっと冷やしていればいいわけではなく、20℃程度の暖かな期間もまた必要です。植物工場を格納している巨大な建物を、まるごと冷やしたり温めたりするのは現実的ではありません。

小山:そこで、一季成りを植物工場でも年中安定して生産できるような、生産プロセスを研究しています。具体的には、慣行栽培の低温(5℃)まで下げずとも、15℃や20℃などの現実的な温度で生産できるようにすること。その他にも、病害リスクのない衛生状態のよい苗の大量生産方法(第一実業株式会社との共同研究)や、連続的に実をならせ収穫できる栽培方法も研究しています。
四季成りといえども、暑い夏の間はなかなか収穫できません。そのため日本国内では、6~11月くらいにかけてイチゴはほとんど流通せず、その間は輸入によって賄っています。レストラン、パティシエさんをはじめ、年間通じてイチゴを必要とするお客さんはいらっしゃいますから、植物工場によって年中生産できれば、「手に入らない」という課題を解決できます。

― それはすごいですね!私も小山先生からこの話を伺って以降、一季成りと四季成りの違いを意識して買ったり食べたりするようになりましたが、一季成りが年中手に入るなら私は買ってしまいそうです・・・。また、建物を建て、栽培棚や照明、空調、その他ロボットなど莫大な設備投資が必要になる植物工場では、「コストの壁」もよく話題になります。高価なものを作って売れるなら理想的ですよね。
食べることが好きで植物の道に
― 小山先生は、現在のお立場になられる前は、民間でも植物工場を手掛けられていますよね。もともと植物や生き物がお好きだったのでしょうか。生い立ちについてもお聞かせいただけますか。
小山:私は兵庫県西宮市に二人兄弟の長男として生まれまして、小中高と地元の公立学校に通いました。よく植物園に連れて行ってもらったり、生き物は幼い頃から好きだった記憶がありますが、いわゆる理科大好き少年だったわけでもありません。どちらかというと算数は好きでしたね。また、スポーツや友達との遊びが好きで、小中はバスケ、高校大学は軟式テニスをやりました。大人になってからはバトミントンを始めて、今では、子供と一緒にやっています。算数が好きだった影響で、高校は理数系コースに進み、そのまま文転(文系にコース変更すること)することもなく、神戸大学 農学部 植物資源学科(現:応用植物学科)に入学しました。私は食べることが好きでして、何か食べるものに関わることをしたいなと思って選んだんです。そして、20歳のときに、現ボスである宇野先生の園芸生産開発学研究室に配属されました。当時は、レタスの耐塩性を改善する研究をしていました。
― 大学のときから植物に関わってこられたのですね。当時から、植物工場にも強いご関心がおありだったのでしょうか。
いえ。当時の世の中は植物工場の第二ブームと言われる時代の少し後でしたが、私自身はそれも知らず、蛍光灯を使って植物を育てようとしている人たちがいる、くらいの認識しかありませんでした。学生の立場から見た、当時の植物工場業界への第一印象は、『なぜ太陽光で育てないんだろう。電気が勿体ないなあ』くらいにしか思っていなかった(笑)。植物の研究自体はとても楽しく、博士課程に進むことも考え、先生にもご相談していたのですが、「やめとき。アカデミアの世界は大変だぞ。」と言われ、民間の道へ進むことになりました。農学部というのはある種潰しがきくといいますか、トライできる業界は広いので、就職活動では公務員、JA、食品、種苗、金融関係、真珠養殖業など、本当に幅広く見ました。いろいろ見るのが面白かったのもあるんですね。食品系の研究職など、いくつか内定もいただいていたのですが・・・。
ガラスメーカーで見つけた自分の天職
― 日本山村硝子さんに入社されるんですよね。ガラスメーカーというと、食品とは何の関係もないように素人としては思うのですが、なぜ日本山村硝子さんにされたのでしょうか。
小山:食べ物の容器としてのガラスに興味を持ったからです。食べ物の品質を保つ、という意味ではガラス瓶が一番です。これは食に多面的に関わることができて面白いのではないかと思って入りました。2007年のことです。
― 大学での研究分野に関係するようなお仕事を期待されて入ったのですか?
いえいえ。総合職採用でして、研究開発職につくかどうかも分からず入り、初任配属されたのは物流部でした。ガラス瓶の印刷加工を手配する部門です。

しかし、わずか入社半年後に転機が訪れます。なんと、植物工場の新規事業プロジェクトに呼ばれ、異動となったのです。会社が植物工場をやっているなんて入社するまで知らなかったですし、採用側も「私に植物工場の仕事をさせよう」なんて思っていなかった。本当に偶然、ちょうど時を同じくした頃、社内の新規事業案として植物工場を提案した方がいらっしゃったのが背景です。、私よりも20歳以上は年上のガラス瓶の営業をされていた方で、のちに私の上司になる方なのですが、提案当時は社内役員からことごとく反対されたと聞きました。ある役員の方から「社長に言ってみたら?」とアドバイスされ、社長にプレゼンしたところ、なんとOKが。役員の方々も、内心は社長からもNGを食らうだろうと思われていたそうで、OK返答を得られたことを聞いたときは『え!』と驚いたそうです。
当初は、ガラス瓶倉庫の片隅6畳くらいのスペースを改修し、小型の栽培棚を作ってレタスを育ててみるところから始めていらっしゃいました。「植物工場」というほどのセッティングではなく、床は板張りだし、手作り基地みたいなものでした。しかし、始めてみたら大変で、人手が足りないとなり、白羽の矢が立ったのが私でした。ガラスメーカーに数名しかいない農学部出身者のひとりが私で、入社したての若手だから、バリバリ働いてくれるだろうという選定理由だったそうです。
とにもかくにも入社早々異動となりましたが、そのときの私が思ったのは『これはきっと運命なんだろう』ということでした。植物の研究は楽しかったが、植物とは全く関係のないガラスメーカーに来た。それでも、植物の世界に引き戻された。『きっとこれは天職なんだ、やりきらなければならないんだ』と思いました。
― 入社半年で異動というのは、すごい話ですね・・・!まず、何から取り掛かったのでしょうか?大企業の新規事業開発というと、市場調査、顧客ヒアリングから始まるイメージがありますが。
小山:当時は、顧客探しはしませんでした。ひたすら研究開発です。異分野から植物工場にチャレンジしようという企業は、エンジニアリング会社などから設備一式を買って、それをそのまま使ってレタスを育てると思います。しかし、私たちは製造技術を自ら作ろうとしていました。当初は反対していた役員も一定理解するようになってくれていたのですが、『やるからには、自社オリジナル技術を作りなさい』と命じられていたのです。ガラスメーカーにとっては全く新しい取り組みだったので、むしろ外部に向けて売ることは許されず、社内で秘密に技術開発をしなければならなかった側面もあったんですが。
当初のメンバー数名のなかでは、私が唯一専門知識を持っていましたので、「光をもう少し強くしてみたら」などと提言し、改善していったところ、それなり成果も出て順調に進んでいきました。はじめは、市販の栽培設備を導入してやってみるところから始まりましたが、検討着手から2年後(2009年頃)には20m2くらいの多段設備にスケールアップ。それまでの取り組みで感じた課題を踏まえて設計した、オリジナルの栽培装置を構築していました。
― いわゆるステージゲート的なGo/Stop審査はなかったのでしょうか?
小山:もちろんありましたが、当時の私たちのミッションは顧客獲得や売上ではなく技術開発でしたので、特許化などの開発目標をクリアしていきました。その後、2012年に研究開発センター棟が新設され、栽培技術だけではなく、作物中の有用成分の測定や新しい種苗の研究まで自社で行えるようになり、単なる野菜に留まらない開発に領域を拡大していました。私自身は入社9年目で管理職となり、研究開発現場ではなくマネジメントが仕事となりました。さらに、技術面に関する社外との連携や、お客様候補との連携など、もともとの起案者であるリーダーと一緒にすべてやっていたのですが、ものすごく楽しかったです。
いよいよ事業化へ!!
―いわゆる事業化に向けた事業開発が始まったのですね。どのように事業開始にこぎつけたのでしょうか。
小山:当時も社内はまだみんな懐疑的でしたが、2014年、チャンスが訪れました。中食の某大手企業様から『サラダ向けの野菜として使えないか。良いものを作っているから、出来上がったときには買います。』と言っていただけたのです。無事に社長決裁もおりて規模のパイロットプラントを建設でき、植物工場で一般的に栽培されているレタスではない、従来農業では安定供給が難しい品目の製造・販売を開始しました。その後さらに、某食品EC企業様から『サラダケールを探している』という新たな引き合いがありました。私たちは一生産者の立場で、お客様が自社ブランドとして売られたところ、これがかなりの大ヒットとなりました。

― 華麗な事業展開ですね。。植物工場で生産した作物は、露地栽培したものよりも基本的に高価になります。それでも買ってくださったというのは、どのような背景があったのでしょうか。
小山:確かにコストは、露地栽培のものより高かったと思います。しかし、採用してくださったどちらのお客様も、「他では手に入らない」という課題がありました。某中食企業様も、クリスマス前のような繁忙期には「欲しくても手に入らない」という課題がありましたし、某食品EC企業様にとっては美味しいサラダケールを提供できるのは日本山村硝子だけでした。オンリーワンだったということです。植物工場プロジェクトが始まってから10年弱、当初に某役員からご助言いただいたとおり「自分たちにしか提供できないものを作る」を突き詰めたのが良かったのだと思います。
そして、既存のお客様向けで製造キャパシティもいっぱいになってきたころ、JR貨物様から『植物工場の新規事業をやりたいが、ノウハウが全く無いので組めないか』というお声がけをいただき、2021年JR貨物様との合弁会社「山村JR貨物きらベジステーション」を設立し、福井県に工場を新設しました(詳細 https://www.yamamura.co.jp/company/research)。

― 日本山村硝子さんで過ごされたエキサイティングな時間を改めて振り返ってみていただきたいのですが、事業立ち上げ成功の秘訣は何だったと思いますか?植物工場の世界は、昨今、業界をリードしてきた米国を中心に多くのユニコーン企業が撤退・倒産を余儀なくされており、小山先生のご経験から考えるヒントをいただけないかと思っています。
小山:ビジネスをやっている皆さんには当たり前のことで恐縮ですが、「植物工場ならではの価値」、「植物工場でしか提供できないもの」を追求したことが最大の要因だったと思います。既存品の置き換えとなると、市場は大きいですが、露地栽培品との価格競争になってしまいます。そこで、そもそも手に入らない希少性のある作物を安定供給する戦い方もあるでしょうし、さらに言えば、品質や栄養価などの付加価値をつけられるかどうか。それぞれの野菜の品種が持っているポテンシャルを発揮させ、品質をコントロールできる可能性を持っているのが植物工場です。
大きな市場とニーズがあるリーフレタスを生産する植物工場では、規模の経済(生産規模を拡大することで、1単位あたりのコスト(固定費)が下がること)により優位性が得られるビジネスモデルが成立します。一方で、みんながみんな、大スケールを目指す必要もないと思っていまして、例えば、スモールビジネス的に6~8畳で、特定のレストランが望むスペックの野菜を製造販売するような超ニッチ戦略もあると思います。大スケールを目指せば、一定、価格競争は受け入れざるを得なくなりますからね。新規事業の規模として数百億円以上が必須になる超大手企業さんにとっては難しいところもあるかもしれませんが。
― 大企業だからこそ、焦って売らずにじっくり育てることができた、という面もおありのように感じました。
そうですね。とりわけ、植物は時間がかかります。大企業の中でじっくり育てることが許された、我慢勝負に臨めたことも勝因だったのかもしれません。スタートアップだと、事業的な成果をあげないといけないので、ある種の余白や遊びのある研究開発はやりにくいですよね。当時の私たちは、本当にいろいろな作物の栽培を試していました。さらに、日本山村硝子は上場企業ではありながら、『数年で出来る事業は大したものにはならない』と、新規事業とはなにかをよく理解されている役員が支援してくれていたこともよかったです。
突如開けた、アカデミアの道
事業化当時の私の仕事は、研究開発のリーダーだけではなく、生産工場のオペレーション管理まで担当していたのですが、そのときに転機が訪れます。母校である神戸大学の指導教官 宇野先生からのメールでした。
『新しいポストの公募があるよ。興味があればトライしてみない?』
私自身、当時の待遇や仕事内容には全く不満がありませんでした。植物工場はついに事業となり順調でした。一方で、私自身は技術現場からは離れていく立場にありました。そして入社当時、思いがけず植物の世界に引き戻された私が心に掲げていた、『新規事業を立ち上げるべくやりきってみよう』という目標はひとつ達成できていました。
― そこで新しい世界に挑戦されることになったのですね。2022年、民間からご出身の研究室に移られ、冒頭でお聞きしたように『イチゴ、トマト、レタス、小松菜、コケ植物、薬用植物、工芸作物など、植物工場でしか実現できない品質のものを作る研究、そして、それがなぜ達成できるのかというメカニズムの研究をしています』とのことでした。大学に戻ってきてみて感じていらっしゃることはありますか?
小山:そうですね、自分がやりたいと思うテーマを、自分の意思で取り組ませてもらえる環境を楽しんでいます。その研究に興味を持ってくれる学生達と一緒に進めていくので、自分もフレッシュになっている気がします。

― 国内外には植物工場を研究されているグループもいらっしゃると思いますが、そのなかで小山先生の特徴や独自性は何になりますか?
小山:ハードとソフト、どちらも出来ることです。そして、事業の実際を踏まえながら、周辺にも目を配れるところ。普通は、植物栽培の装置を作るハード、植物を育てるソフト、どちらか一方に強みをもっている方が多いと思います。私の場合は、幸いなことにいずれも経験してきたので、LED証明や栽培装置を組むエンジニアリングもできます。栽培方法のニーズにあわせてフレキシブルに設備を組むこともできます。
植物工場の本丸は、作物そのものや栽培方法です。しかし、事業を立ち上げるにあたっては、衛生管理や送風・温調といった環境因子のバラつき制御など、多くの周辺要素も非常に重要です。基礎研究では見落とされがちなポイントですが、私から「栽培そのものではない所だけど、この部分、見ていらっしゃいますか?」とパートナー企業様にご提案することもあります。私自身も、研究対象だけにこだわらず、周辺も含めて広くお話をさせていただける方が楽しいですね。事業の立ち上げで幅広い経験をしてきたことを、パートナーとして魅力に感じていただけることもあるようです。
植物は時間がかかる。だから我慢して続けておかなければ、技術は育たない。
― 事業の初めから立ち上げまで関われることだけでも珍しいのに、さらに今は大学に戻って研究されているということで、本当に珍しいお立場だと思います。実際の事業から逆算して研究をとらえてくれるパートナーということで、共同研究先の企業様にとっても絶対にメリットがありますよね。小山先生としては、植物工場の世界の未来をどのように見ていらっしゃいますか?
小山:電気代高騰など難しさはあると思いますが、世界的にはまだ人口が増えてくると予測されています。環境を制御して食糧生産できるのが植物工場の良さなので、食糧が手に入らない地域に安定供給する手段として必要な技術だと思っています。今後は電気だけではなく、肥料や水などの資源を有効活用できる、環境に優しい栽培の実現も、植物工場だからこそ可能になると考えています。しかし、植物の研究は時間がかかります。そのときどきで流行り廃りはあるでしょうが、我慢して研究開発を続けておくことで、育てられる作物も少しずつ増えてくるはずです。
― そうですね。科学技術は多かれ少なかれ同じでしょうが、時間のかかる生物にどのように向き合っていくかが重要ですね。最後に、今回の私とのコラボレーションについてもお伺いさせてください。今回は、先生のご研究成果をもとに、①ビジネスプランの作成、②私のオウンドメディア(TechBiz)での発信をやらせていただきました。私が関わらせていただいたことで、何か役に立ったことはありましたか?

小山:民間で事業をやっていたので、コスト試算をはじめ自分でも一通り出来ますが、自身の研究テーマを客観的な観点から見える化・構造化してもらえるのは良かったなと思いました。助成金申請書などをはじめとして文章にすることはあっても、図式化することはあまりありませんでした。作っていただいた資料を自分で読んでみても「あぁ、分かりやすいな」と思ったので、それを踏まえて改めて文章にすると読み手にとっても違うんだろうと思います。また、産業界からの反響もいただけて、これまで会ったことのない方々とのつながりができたのも良かったです。
― 小山先生の稀有なご経験が、さまざまな植物工場プロジェクトに波及していく未来を楽しみにしております。この度はインタビューのお時間をいただき、ありがとうございました。
インタビュアーあとがき
スタートアップの世界で長らく事業開発をやってきて、「買ってくれる潜在顧客を見つけてから、研究開発に着手する」が定石と信じて思ってきました。が、その信念は何だったのだろうと打ち砕かれるような、華麗なるご経験談でした(笑)スタートアップをはじめ、リソースの限られる状況での新規事業ではそうするしかない。対して、リソースの潤沢な大企業が「まずは確たる技術をじっくり作る。市場性はそれから。」、「結果が出るまでやめない。」といった横綱相撲をとってこられた場合、これは叶わないなと思いました。新規事業成功のヒントが数多く得られるインタビューとなりました。
植物工場での新規事業をご検討の企業様はぜひ、小山先生にご相談されてください!!

